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2007/02/21//Wed * 00:01
四弦鳴る春
 音楽と云う手段でありとあらゆる総てを表現出来ると云う事に、僕は嫉妬に近い程の執着心と羨望を抱き、同時に深い感銘すらも多分に受けるのである。
君は、君たちは音楽で世界を提示している。まるで世界をケーキみたいに切り分けたり、錬金術の様に再構築したりする行為に、僕は唯々如何しようもなく惹かれるのである。
 
 僕には出来ない。何故なら、音楽を手段と云ってしまっているからだ。表現行為の過程と結果に音があると云う自然さが僕には無いのである。君が、君たちが音楽を通して表現を表現たらしめているのは、まさに自然さなのである。僕は、僕には持ち得ない其の日常的な自然さに崇高さと純粋性を感じるのである。

 また、何かを生み出すと云う観点に於いても、日常的な自然さは重要な要素である。君は、君たちは自ら生まれ出る何か、又は生み出された何かの根源を音にする作業を用いないであろう。何故なら、初めから音は音として存在しているからである。


 僕は音楽を作業などと云ってしまった。手段に作業。
故に僕は、自身に不自然さと不純を感じている。そして、表現行為の意義を失ってしまっているんだ。
恐らく、君は、君たちは僕の此の逆説から生まれる矛盾すら呑み込んで、に変えてしまうのであろう。

 所で君の、君たちの意見は何か無いのか?
僕のロジックにも為らない感想事を、そうやって何時も黙って…。
聞いているのか?それとも聞こえてもいないのか?
どうなんだ、一体…

                   *

 休日の昼下がり、部屋の中で彼は書きかけの詩をぼんやりと眺めていた。生まれたての世界で漂う中、何時の間にか夢想は自己言及に変わり、独りディベートが始まっていたのである。
彼は覚えていないだろう。彼には目覚めの悪い夢を見たような鈍い疲労感だけが残っていた。

 彼にとって部屋の中と云うのは閉鎖的であり、超現実的な空間である。しかし、流れ込んでくる風の量や匂い、差し込む陽射を受けて様々な様相を呈するカーテン、其れ等の具合に依って、部屋の中は全くの異風景に変わる。
 そして、色の反射を受けた椅子や机、小物オブジェに至るまで全ての物たちは本来の役割を忘れ、空間に溶け込んで行く…。

 最早、彼の管理下を放れた空間は彼の想像も付かない世界を彩って行った。此の時間帯、其の刹那に生み出された空間は彼が生み出した世界を呑み込み、彼をぼんやりとさせたのであった。

 春にはしばしばこうゆう事がある。



 音楽が唯の音の羅列に…
 冷たい色した花弁に見えた
 音の無い春に僕は佇んで
 「虚しく散った」君にはそう伝えた

 四季の無い国で君は笑ってみせた
 咲いた、散った、も知れないのに
 音の無い春に僕は笑ってみせた
 其れで不意に四弦が鳴り響いた!
 
 音楽は此処にあった



 パソコンの画面には、散文詩が表示されていた。
彼は亦うつらうつらと書きかけの詩を眺めるのであった。






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プロフィール

 上田靖(トリッシュ)

Author: 上田靖(トリッシュ)

 三重県伊賀市在住のベース弾き。

バンドでコントラバスとハーモニカを演奏(たまにチェロとエレキベース)し、ソロ活動は自作曲を歌う。

 「伊藤ユッキ×トリッシュ」をメインのバンドで関西を中心に活動、自主イベントの「豆会」と「劇場歌小屋の2階」のレギュラーライブを柱とし、「チーバンド(池マサト)」のベース担当としても活動中。
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